WDF Vol.21 開催レポート

2016年3月12日(土)、「デザインの要フォントについての知識を深める一日」をテーマに WDF Vol.21 を開催し、28名の方にご参加いただきました。
WDF史上最もニッチなテーマでの開催となりましたが、北陸で書体設計家のお話を聞ける、という貴重な機会でもありました。当日のアンケートからも、ご参加の皆さんの満足度が高く、楽しんでいただけた様子が伝わりました。ご参加の皆さま、講師の皆さま、ありがとうございました。
当日のツイート、写真
イベントの様子
関口 浩之さん「日本語Webフォント最新事情」


フォントメーカー10社を口説き、日本語Webフォントサービス「フォントプラス(FONTPLUS)」を立ち上げた関口さん。今回も、書体・フォントへの愛情、知識、熱意あふれるセッションでした。
ブランディング、SEO、制作効率のため、Webフォントが普及してきた経緯と、日本語ならではの様々な課題がクリアされてきている状況を、実例をもとに紹介していただきました。
参加者の感想
- 地方の小規模サイトの案件でのWebフォント導入は、コストの問題からクライアントに提案しづらいとずっと思っていましたが、よくよく説明を聞くと決して高いコストじゃないことがわかりました。外部のグラフィックデザイナーにカンプを起こしてもらうケースが多いのですが、Webで使えるフォントの自由度が増すと、デザイナーの思いに、より応えることができるようになるなと思いました。
- Webフォントの良さを改めて知ることができました。導入って難しいのかなと思ったのですが、意外と簡単だったので自分のPCに入れてみようかと思います。縦組みのサイトは衝撃でした。
- Webフォントの実演がとても分かりやすかったです。
片岡 朗さん、木龍 歩美さん「書体設計家の話」


砧書体制作所の片岡さん、木龍さんは、書体設計家の道に入った経緯、設計された一つひとつの書体についての制作意図や制作過程、さらには書体との向き合い方まで、丁寧にお話していただきました。
参加者全員に頂戴した7冊の書体見本。フォントを作る時も言葉を大切にしている、というお二人が作った書体見本は、それぞれの書体の特徴を見事に表していました。
デザイナーの仕事は、情報を相手に伝えることであり、情報(言葉)にこもっている思いをどう表現するか、そのために思いの数だけフォントがあってもいいと思っている、と片岡さんは語られました。
参加者の感想
- 普段から丸明はよく使わせていただきますが、制作にまつわるお話を聞けてより一層好きになりました。
- 山本庵の裏話や芯ファミリー書体の裏話など、とても充実したお話を聞けました。また、フォントに対する情熱やご意見も聞けて、とても刺激になりました。
- 書体制作のウラ話やデザインにおけるフォントの立ち位置を語っていただき、フォントを選ぶ時の意識も変わっていくだろうなと思いました。書体を使う側が書体をつくる側の「思い」を知ることはとても貴重な体験でした。ステキな書体をありがとうございます。
- すごくおもしろい話が聞けました。できあがった文字を見ることがあっても、作る時や作る人の話を聞くことはなかったので、貴重な経験になりました。見本帳もとてもおもしろかったです。
トークセッション&質問コーナー






関口さん、片岡さん、木龍さんそろってのトークセッションでは、会場からの様々な質問に答えていただきました。
ひとつの書体を制作するのにかかる時間、フォント選びのコツ、制作時におけるリフレッシュ法、などなど多岐に渡る質問に、丁寧に答えていただきました。書体を制作する時間では、丸明オールドは約5年、山本庵では原字を書くだけで3〜4年かかった、ということでした。改めて日本語のフォントを制作するというプロジェクトの壮大さを感じました。
参加者の感想
- 片岡さんのフォントに対する思いが伝わりました。木龍さんがフォントデザイナーを目指された話もとても面白かったです。
- 何もかもが手軽になった時代に、フォントを選ぶ意味を考える、というのを意識したいと今更ながら思いました。
- フォント作りを行うオフィスの写真なども見せていただけ、とても興味深かったです。